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日本の半導体復活戦略:ラピダスとTSMC誘致の行方

半導体

国策として進む半導体産業の復活。ラピダスとTSMC熊本工場の最新動向を解説します。

テクノロジー経済#半導体#ラピダス#TSMC

日本の半導体復活戦略:ラピダスとTSMC誘致の行方

かつて世界の半導体市場で50%以上のシェアを誇った日本。しかし、2020年代にはそのシェアは10%以下にまで低下しました。この危機感から、日本政府は半導体産業の復活を国家戦略として位置づけ、巨額の投資を進めています。

ラピダス:2ナノの挑戦

北海道千歳市に建設中のラピダス(Rapidus)は、日本が世界最先端の2ナノメートルプロセスの半導体製造を目指す野心的なプロジェクトです。トヨタ、ソニー、NTTなど8社が出資し、政府も9,200億円以上の補助金を投じています。

IBMから技術供与を受け、2027年の量産開始を目標としていますが、課題は山積しています。最先端半導体の製造経験がない企業が、わずか数年で世界トップクラスの技術を確立できるのかという疑問は根強いものがあります。人材の確保も深刻な問題で、世界中から技術者を集める必要があります。

TSMC熊本工場:地域を変える巨大投資

一方、台湾のTSMCが熊本県菊陽町に建設した第1工場は、2024年末に稼働を開始しました。さらに第2工場の建設も決定し、合計投資額は2兆円を超える規模です。この投資は、熊本県のみならず九州全体の経済を大きく変えつつあります。

菊陽町周辺では、地価が急騰し、新たなマンションや商業施設の建設ラッシュが続いています。関連するサプライヤー企業の進出も相次ぎ、雇用の創出効果は計り知れません。地元では「シリコンアイランド九州」の復活という言葉が現実味を帯びてきています。

日本の強みと弱み

半導体産業において、日本には依然として強みがあります。製造装置と素材の分野では、東京エレクトロン、信越化学、JSRなどの日本企業が世界市場で高いシェアを維持しています。この川上の強さを活かしながら、製造能力を取り戻すことが戦略の核心です。

しかし、弱みも明確です。ファウンドリ(受託製造)の経験不足、ソフトウェアやEDA(電子設計自動化)ツールにおける海外依存、そして何より技術者の不足が深刻です。半導体人材の育成には時間がかかり、短期間での解決は困難です。

地政学的な背景

この半導体復活戦略の背景には、米中対立の激化があります。サプライチェーンの安全保障が重視される中、日本が先端半導体の製造能力を持つことは、経済安全保障上の重要な意味を持ちます。

巨額の国費投入に対する批判もありますが、半導体はAI、自動運転、医療機器など、あらゆる先端技術の基盤です。この投資が日本の産業競争力の回復につながるのか、今後数年の成果が問われることになります。